ただの水で190億円売り上げるコンセプト設計

こんにちは。

Connect.の渡邊優です。

この「社長ブログ」では、マインドやマーケティング、その他出会った様々な情報と今までの経験を中心に「視点」のシェアをしています。

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みなさんは「Liquid Death(リキッド・デス)」という“水”をご存知ですか?

リキッドデスはアメリカで2017年に生まれた企業で、2022年時点で評価額が約1000億円、売上規模が約190億円に達する見込みといわれているスタートアップ企業です。

商品名も「Liquid Death」です。

この強烈なインパクトのデザイン缶の中身は「水」です。

スパークリングウォーターや、ライム等のフレーバーウォーターのラインナップもあります。

でも、水です。

水がなぜこんなにも売れるようになったのかのコンセプト設計が面白いので今日はそこをシェアしたいと思います。

リキッドデスのコンセプトは大きく分けて2つあります。

①エコのためにペットボトルではなく缶を使うこと
②「ださくない水」であること
①エコのためにペットボトルではなく缶を使うこと

缶の再利用は「Can to Can」とも呼ばれ、比較的簡単にできますが、ペットボトルの再利用はそれに比べてコストがかかるため廃棄されることが多いです。

ペットボトルではなく缶を素材に選ぶことで「私たちは環境に配慮しています」というメッセージを打ち出すこと、そしてその商品を選ぶ消費者自身も環境に配慮しているという選択肢を取ることができるコンセプトになっています。

②「ださくない水」であること

エコに配慮するやり方は近年のSDGsの傾向からもう珍しくないかもしれませんが、リキッドデスの面白いところは何と言ってもこの「ださくない水」というコンセプト

ライブ会場やバーで水を飲もうとすると、ペットボトルの水を飲みますよね。

だけど、中には゛いかにもノンアルです”感がちょっと気になる人もいるでしょう。

そこの心理に寄り添って生まれたのが「ださくない水」というコンセプトです。

出典:https://www.honestbrandreviews.com/reviews/liquid-death-mountain-water-review/

出典:Mark Gunter via Getty Images

確かに水に見えないですよね(笑)

特にロックファンの人たちでも水をかっこよく飲めるように意識して作られています。

キャッチコピーも強烈で、「MURDER YOUR THIRSTY(喉の渇きを殺す)」なんですよね。

世界観の作り込みが本当に面白いなと思います。

売っているもの・商品は「水」でも、視点を変えてコンセプトを考えるとここまで面白いものが生まれます。

売っているのは水だけではない

リキッドデスでは、水のラインナップよりもキャップやパーカー、Tシャツ、指輪等のグッズのラインナップの方が多いんです。

出典:Liquid Death公式HP

これもロックファンの心をくすぐるものですよね。

「水を売っている」「グッズを売っている」とも言えるし、「ノンアルでもださく見られない姿を売っている」とも言えますよね。

商売がうまい人たちはみんな人の心理への向き合い方がうまいです。

魂を売って入るコミュニティー

リキッドデスの面白いところはまだまだあって、独自のコミュニティー「THE LIQUID DEATH COUNTRY CLUB(リキッドデスカントリークラブ)」があって、会員になると限定商品へのアクセス権、一般公開前に限定グッズを購入可能、プライベートショーやイベントへの招待などの特典が受けられます。

その入会方法が面白いんです。

名前とメールアドレスを入力するところまでは普通なんですが、最後に「SELL MY SOUL(私の魂を売る)」ボタンをクリックする、もしくは12万5,000ドル(1ドル=134円換算で約1,670万円)の現金を払う必要があります。

出典:Liquid Death公式HP

ロックファンにとって「SOUL(魂)」という言葉を使ったこの入会はウケること間違いなしですよね。

一般的に考えてしまうと「申し込む」「登録する」「入会する」という言葉を使ってしまいますが、強いブランドは細部のこだわりがすごいです。

私は「神は細部に宿る」という言葉が好きなので、こういう細部のこだわりを見るとまさにそのレベルを実現させている企業だなと感じてすごくワクワクします。

会社の定義

そんな面白いリキッドデスは、自社のことを「a funny water company(おもしろい飲料水の会社)」と表現しています。

自分たちの会社のことをどう定義するかでコンセプトのコアな部分が固まりますよね。

私は、海外の人たちの発想は日本人に比べて自由でユニークなものが多いと思っています。

だから海外の事例を知るとすごくいろんな視点が見つかって面白いし、その点を応用すれば私たちももっと面白いものが生み出せると思っています。

私が会社の名前を「Connect.」として最後に「.」をつけているのは、「点と点を繋げて新たな価値を創造し提供する」という意味を込めているからです。

点を繋ぎ合わせて新しいものを生み出すことが役割の私たちにとっては、今回のリキッドデスの事例はすごく参考になるものがありました。

みなさんも自社のブランディングを見直したいなと思っている時、新商品のコンセプトに迷っている時は、日本だけでなく世界に目を向けてみると、いつもとは違った角度から思考することができて良いアイデアが浮かぶ可能性があるので、是非世界にも目を向けてみてください。

自分たちで調べることが手間だったり苦手な場合は、私のブログが少しでも参考になれば嬉しいです。

これからも視点をシェアしていきます。

▶Liquid Deathの公式HPはこちら

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